活性酸素という言葉は最近の健康番組などでもよく取り上げられますからご存じの方も多いでしょう。これは、呼吸を通じて体内に取りこまれた酸素の一部が食物をエネルギーに変える代謝の過程で発生します。非常に酸化力の強い毒素で遺伝子を傷つけ、ガンなどを引き起こしやすくするだけでなく、体内の脂質を攻撃して過酸化脂質に変え、動脈硬化や老化なども促進します。

活性酸素は、紫外線や放射線、排ガス、食品添加物、インスタント食品、タバコの煙などの発ガン物質から多く生成されます。仕事や人間関係の軋轢、強いショックなどで生ずるストレスも活性酸素発生の大きな要因の一つです。もともと人間の身体には、活性酸素を除去してくれるスーパーオキサイト・ディスムターゼ(SOD)などの生理活性酸素が備わっていますが、30歳ころから少しずつ働きが衰えてきます。ですから、中高年といわれる年代になったならば、なるべく活性酸素を体内に発生させないよう注意しなければなりません。

それには生活習慣を見直すことはもちろん、食生活の改善をとおして抗酸化力(酸化を防ぐ力)を高めることが大切になります。このとき留意したいのは、抗酸化力を高める食べ物であっても偏ってとったのでは効果が薄いということです。抗酸化物質そのものが酸化されて新たな活性酸素を発生させるという悪循環を生みますから、栄養素のバランスには特に気をつける必要があります。